|
|
|
|
|
この章ではビルドプロセスの概要と最も広く利用されている3種類のイメージの使用手順について簡単に述べます。最も汎用性の高い形式のイメージである iso-hybrid は、仮想マシンや光学メディア、USBポータブルストレージ機器上で利用できます。特に変わった状況では後述のように、hdd 形式の方が適するかもしれません。この章では netboot 形式のイメージをビルド、利用する手順を記載しています。この形式はサーバ上で必要とする準備のためにやや複雑になります。これは netboot についてまだ不慣れな人にとってはわずかに高度な話題となりますが、その準備さえできればローカルネットワーク上でブートするためのイメージをテスト、展開するのに非常に便利な方法で、難なくイメージのメディアを扱うことができるため、ここに収録しています。
この節は ウェブブート の簡単な手引きで終えています。これは恐らく異なる目的の異なるイメージを必要に応じて切り替えて使う最も簡単な方法で、手段としてインターネットを使います。
この章全体を通して、live-build により作成されるデフォルトのファイル名を頻繁に参照しています。 ビルド済みイメージをダウンロード した場合、実際のファイル名は異なる場合があります。
Live システムとは、 通常 CD-ROM やUSBメモリ等の取り外し可能メディア、あるいはネットワークからコンピュータ上でブートされるオペレーティングシステムを意味し、普通のドライブに何もインストールせずに利用でき、実行時に自動設定が行われます ( 用語 参照)。
With live systems, it's an operating system, built for one of the supported architectures (currently amd64 and arm64). It is made from the following parts:
You can use live-build to build the system image from your specifications, set up a Linux kernel, its initrd, and a bootloader to run them, all in one medium-dependent format (ISO9660 image, disk image, etc.).
You can download one of the prebuilt images from ‹https://www.debian.org/CD/live/›. For many of the popular desktop environments (GNOME, Xfce, KDE, etc.) a specific live image is prepared.
If you are unsure which file to download, use the 'Live GNOME' image from the 'stable' release. You can then skip reading the next sections and run the image in a virtual machine.
イメージの種類を問わず、イメージをビルドするのに同一の基礎手順を毎回実行する必要があります。最初の例ではビルド用のディレクトリを作成して、このディレクトリに移動してから live-build コマンドを以下の順で実行し、X.org のないデフォルトの Live システムを収録する基本的な ISO hybrid イメージを作成します。このイメージはCDやDVDメディアへの書き込み、さらにUSBメモリへの複製にも適しています。
作業ディレクトリの名前は完全に自由ですが、live-manual 全体で利用されている例を参考にする場合、特に異なる種類のイメージについて作業、実験している場合、各ディレクトリで作業しているイメージの識別を支援する名前を使うのは良い方法です。ここではデフォルトのシステムをビルドするとして、例えば live-default と呼びましょう。
$ mkdir live-default && cd live-default
それから lb config コマンドを実行します。これにより他のコマンドが利用する「config/」階層を現在のディレクトリに作成します。
$ lb config
上記のコマンドにはパラメータが渡されていないので、様々な選択肢についてそれぞれのデフォルト値が使われます。さらなる詳細については lb config コマンド を見てください。
これで「config/」階層ができました。lb build コマンドでイメージをビルドします。
# lb build
This process can take a while, depending on the speed of your computer and your network connection. When it is complete, there should be a live-image-amd64.hybrid.iso image file, ready to use, in the current directory.
注意: amd64 システムでビルドした場合は、出来上がるイメージの名前は live-image-amd64.hybrid.iso となります。マニュアル全体でこの慣例を採用していることに留意してください。
After either building or downloading an ISO hybrid image the usual next step is to prepare your medium for booting, either CD-R(W) or DVD-R(W) optical media or a USB stick.
ISOイメージの書き込みは簡単です。xorriso をインストールしてそれをコマンドラインから使ってイメージを書き込むだけです。例えば:
# apt-get install xorriso
$ xorriso -as cdrecord -v dev=/dev/sr0 blank=as_needed live-image-amd64.hybrid.iso
xorriso で作られたISOイメージは cp プログラムや同等プログラムを使って単純にUSBメモリにコピーすることができます。イメージファイルを置けるだけの十分に大きなサイズのUSBメモリを差し込んでそれがどのデバイスなのか決定します。以後 ${USBメモリ} として参照します。これは例えば /dev/sdb といったUSBメモリのデバイスファイルで、例えば /dev/sdb1 といったパーティションではありません! USBメモリを差し込んでから dmesg か、もっと良いのは ls -l /dev/disk/by-id の出力を見ると正しいデバイス名を調べることができます。
正しいデバイス名を得られたことを確信できたら cp コマンドを使ってイメージをUSBメモリにコピーします。これを実行すると以前そのUSBメモリにあった内容は全て確実に上書きされます!
$ cp live-image-amd64.hybrid.iso ${USBSTICK}
$ sync
注意: sync コマンドはイメージのコピー中にカーネルによりメモリに記憶されているデータが全てUSBメモリに書き込まれたことを保証するのに有用です。
After copying the live-image-amd64.hybrid.iso to a USB stick, the first partition on the device will be filled up by the live system. To use the remaining free space, use a partitioning tool such as gparted or parted to create a new partition on the stick.
# gparted ${USBメモリ}
パーティションの作成後にはファイルシステムを作成する必要があります。選択肢には ext4 等があります。${パーティション}には例えば /dev/sdb2 等パーティションの名前が入ります。
# mkfs.ext4 ${パーティション}
注意: 余った容量を Windows で使いたい場合ですが、このOSでは最初のパーティション以外にアクセスすることは通常できません。この問題に対する解決策が メーリングリスト でいくらか議論されていますが、簡単な解はないようです。
Remember: Every time you install a new live-image-amd64.hybrid.iso on the stick, all data on the stick will be lost because the partition table is overwritten by the contents of the image, so back up your extra partition first to restore again after updating the live image.
Live メディアCD、DVD、USBメモリ、あるいは PXE ブートでの初回ブート時に、そのコンピュータの BIOS をまず設定する必要があるかもしれません。BIOS により機能やキーの割り当てが大きく異なるため、ここではそれについて深くは触れません。BIOS によってはブートするデバイスのメニューをブート時に提示させるキー割り当てを提供しているものがあり、そのシステムでこれが利用できる場合は最も簡単な方法でしょう。それがない場合は BIOS 設定メニューに入って Live システムのブートデバイスを通常のブートデバイスよりも前に配置するようにブート順を変更する必要があります。
メディアをブートするとブートメニューが表示されているでしょう。ここで単に enter を押すと、システムはデフォルトの項目 Live とデフォルトのオプションを使ってブートします。ブートオプションのさらなる情報については、メニューの「ヘルプ」の項目や Live システム内にある live-boot 及び live-config の man ページを見てください。
Assuming you've selected Live and booted a default desktop live image, after the boot messages scroll by, you should be automatically logged into the user account and see a desktop, ready to use. If you have booted a console-only image, you should be automatically logged in on the console to the user account and see a shell prompt, ready to use.
Live イメージを仮想マシン (VM) 内で実行すると開発の面で大きな時間の節約になるかもしれません。これには注意事項がないというわけではありません:
こういった制約があることを理解した上で利用可能なVMソフトウェアを調べて要件に合うものを選択してください。
Debian で最も汎用性の高いVMは QEMU です。プロセッサが仮想化をハードウェアでサポートしている場合は qemu-kvm パッケージを使ってください。qemu-kvm パッケージの説明に要件の簡単な一覧があります。
プロセッサがサポートしている場合はまず qemu-kvm をインストールしてください。サポートしている場合は qemu をインストールしてください。以下の例ではどちらの場合もプログラム名は kvm ではなく qemu とします。qemu-utils パッケージもあると qemu-img で仮想ディスクのイメージを作成するのによいでしょう。
# apt-get install qemu-kvm qemu-utils
ISOイメージのブートは簡単です:
$ kvm -cdrom live-image-amd64.hybrid.iso -m 4G
詳細については man ページを見てください。
Note: For live systems containing a desktop environment that you want to test with qemu, you may wish to include the spice-vdagent package in your live-build configuration. This will automatically adjust the resolution and enable the clipboard between the virtual machine and the host.
$ echo "spice-vdagent" >> config/package-lists/spice.list.chroot
virtualbox でISOをテストするには:
# apt-get install virtualbox virtualbox-qt virtualbox-dkms
$ virtualbox
Create a new virtual machine, change the storage settings to use live-image-amd64.hybrid.iso as the CD/DVD device, and start the machine.
注意: X.org を収録している Live システムを virtualbox でテストしたい場合は live-build 設定に VirtualBox X.org ドライバパッケージ virtualboxbox-guest-dkms 及び virtualboxbox-guest-x11 を収録するとよいでしょう。収録しない場合、解像度は 800x600 に限定されます。
$ echo "virtualbox-guest-dkms virtualbox-guest-x11" >> config/package-lists/my.list.chroot
dkms パッケージを機能させるためには、そのイメージで利用しているカーネルの種類のカーネルヘッダもインストールする必要があります。正しいパッケージの選択は上記で作成したパッケージ一覧に正しい linux-headers パッケージを手作業により列挙する代わりに live-build により自動的に行うことができます。
$ lb config --linux-packages "linux-image linux-headers"
Building an HDD image is similar to an ISO hybrid one in all respects except you specify -b hdd and the resulting filename is live-image-amd64.img which cannot be burnt to optical media. It is suitable for booting from USB sticks, USB hard drives, and various other portable storage devices. Normally, an ISO hybrid image can be used for this purpose instead, but if you have a BIOS which does not handle hybrid images properly, you need an HDD image.
注意: 前の例で ISO hybrid イメージを作成している場合 lb clean コマンド ( lb clean コマンド 参照) で作業ディレクトリをきれいにする必要があります:
# lb clean --binary
前と同様に lb config コマンドを実行します。今回はイメージの種類にHDDを指定する点が異なります:
$ lb config -b hdd
それから lb build コマンドでイメージをビルドします:
# lb build
When the build finishes, a live-image-amd64.img file should be present in the current directory.
The generated binary image contains a VFAT partition and the syslinux bootloader, ready to be directly written on a USB device. Once again, using an HDD image is just like using an ISO hybrid one on USB. Follow the instructions in Using an ISO hybrid live image, except use the filename live-image-amd64.img instead of live-image-amd64.hybrid.iso.
Likewise, to test an HDD image with Qemu, install qemu as described above in Testing an ISO image with QEMU. Then run kvm or qemu, depending on which version your host system needs, specifying live-image-amd64.img as the first hard drive.
$ kvm -hda live-image-amd64.img
以下の順でコマンドを実行すると X.org のないデフォルトの Live システムを収録する基本的な netboot イメージを作成します。ネットワーク越しのブートに適しています。
注意: 前に示した例からどれかを実行した場合、作業ディレクトリを lb clean コマンドできれいにする必要があります:
# lb clean
この特定の場合必要な段階の掃除が lb clean --binary では不十分です。netboot イメージのビルドで live-build が netboot の準備を自動的に実行するにあたって異なる initramfs 設定が必要なことがその原因です。initramfs の作成は chroot の段階で行われるため、既存のビルドディレクトリで netboot に切り替えるということは chroot の段階も再ビルドするということになります。したがって、lb clean (これは chroot の段階も削除します) を使う必要があります。
lb config コマンドを以下のように実行してイメージを netboot 用に設定します:
$ lb config -b netboot --net-root-path "/srv/debian-live" --net-root-server "192.168.0.2"
ISO及びHDDイメージとは対照的に netboot 自体ではクライアントに対してファイルシステムのイメージを提供しないため、ファイルをNFS経由で提供する必要があります。lb config で異なるネットワークファイルシステムを選択することもできます。--net-root-path 及び --net-root-server オプションはそれぞれ、ブート時にファイルシステムのイメージが置かれるNFSサーバの位置とサーバを指定します。ネットワークやサーバに合う適切な値がセットされていることを確認してください。
それから lb build コマンドでイメージをビルドします:
# lb build
ネットワーク経由のブートでは、クライアントは通常イーサネットカードの EPROM にある小さなソフトウェアを実行します。このプログラムは DHCP リクエストを送り、IPアドレスと次に行うことについての情報を取得します。次の段階は通常、TFTP プロトコルを経由した高レベルブートローダの取得です。これには pxelinux や GRUB、さらには直接 Linux のようなオペレーティングシステムをブートすることもできます。
For example, if you unpack the generated live-image-amd64.netboot.tar archive in the /srv/debian-live directory, you'll find the filesystem image in live/filesystem.squashfs and the kernel, initrd and pxelinux bootloader in tftpboot/.
ネットワーク経由でのブートをできるようにするにはサーバ上でサービスを3つ、DHCP サーバ、TFTP サーバ、NFSサーバを設定する必要があります。
ネットワーク経由でブートするクライアントシステムに対して確実にIPアドレスを1つ与え、PXEブートローダの位置を通知するようにネットワークの DHCP サーバを設定する必要があります。
イメージしやすいように /etc/dhcp/dhcpd.conf 設定ファイルで設定する ISC DHCP サーバ isc-dhcp-server 向けに書かれた例を示します:
# /etc/dhcp/dhcpd.conf - configuration file for isc-dhcp-server
ddns-update-style none;
option domain-name "example.org";
option domain-name-servers ns1.example.org, ns2.example.org;
default-lease-time 600;
max-lease-time 7200;
log-facility local7;
subnet 192.168.0.0 netmask 255.255.255.0 {
range 192.168.0.1 192.168.0.254;
filename "pxelinux.0";
next-server 192.168.0.2;
option subnet-mask 255.255.255.0;
option broadcast-address 192.168.0.255;
option routers 192.168.0.1;
}
これはカーネルと初期RAMディスクをシステム実行時に提供します。
tftpd-hpa パッケージをインストールすべきです。これはルートディレクトリ、通常 /srv/tftp 内にある全ファイルを提供できます。/srv/debian-live/tftpboot 内にあるファイルを提供させるには root で
# dpkg-reconfigure -plow tftpd-hpa
を実行し、tftp サーバの新しいディレクトリについて聞かれたら回答します。
ゲストコンピュータが Linux カーネルをダウンロード、ブートして initrd を読み込むと、NFSサーバ経由で Live ファイルシステムのイメージをマウントしようとします。
nfs-kernel-server パッケージをインストールする必要があります。
それから /etc/exports に
/srv/debian-live *(ro,async,no_root_squash,no_subtree_check)
のような行を追記してファイルシステムのイメージをNFS経由で利用できるようにし、この新しいエクスポートについてNFSサーバに知らせます:
# exportfs -rv
Setting up these three services can be a little tricky. You might need some patience to get all of them working together. For more information, see the syslinux wiki at ‹https://wiki.syslinux.org/wiki/index.php?title=PXELINUX› or the Debian Installer Manual's TFTP Net Booting section at ‹https://www.debian.org/releases/stable/amd64/ch04s05.en.html›. They might help, as their processes are very similar.
Netboot イメージの作成は live-build により簡単になりましたが、イメージを実際のマシンでテストするのは本当に時間がかかるものとなるかもしれません。
日常を楽にするために仮想化を利用できます。
/etc/qemu-ifup を編集します:
#!/bin/sh
sudo -p "Password for $0:" /sbin/ifconfig $1 172.20.0.1
echo "Executing /etc/qemu-ifup"
echo "Bringing up $1 for bridged mode..."
sudo /sbin/ifconfig $1 0.0.0.0 promisc up
echo "Adding $1 to br0..."
sudo /usr/sbin/brctl addif br0 $1
sleep 2
grub-floppy-netboot を取得またはビルドします。
「-net nic,vlan=0 -net tap,vlan=0,ifname=tun0」を引数にして qemu を実行します
ウェブブートは手段としてインターネットを使い Live システムをブートするための便利な方法です。ウェブブートの要件はとても少なくなっています。ある言い方をすれば必要なのはブートローダと初期RAMディスク、カーネルを収録したメディアです。別の言い方をすれば必要なのはファイルシステムを収録する squashfs ファイルを置くウェブサーバです。
As usual, you can build the images yourself or use the prebuilt files. Using prebuilt images would be handy for doing initial testing until one can fine tune their own needs. If you have built a live image you will find the files needed for webbooting in the build directory under binary/live/. The files are called vmlinuz, initrd.img and filesystem.squashfs.
必要なファイルを既に存在するISOイメージから抽出することも可能です。そのためには以下のようにしてそのイメージをループバックマウントします:
# mount -o loop image.iso /mnt
The files are to be found under the live/ directory. In this specific case, it would be /mnt/live/. This method has the disadvantage that you need to be root to be able to mount the image. However, it has the advantage that it is easily scriptable and thus, easily automated.
しかし疑いようもなく、ISOイメージからファイルを抽出すると同時にウェブサーバにアップロードするのに最も簡単なのはミッドナイトコマンダーや mc の利用でしょう。genisoimage パッケージをインストールしていれば2ペインのファイルマネージャによりISOファイルの内容を確認しながらもう1つのペインではftp経由でファイルをアップロードできます。この方法は手作業の介入が必要とはなりますが root 権限を必要としません。
ユーザによってはウェブブートのテストに仮想化を好みますがここでは以下の活用事例に合わせて実際のハードウェアについて言及します。あくまで例だと思ってください。
ウェブブートイメージの起動は上記で示した構成要素、つまり vmlinuz と initrd.img をUSBメモリの live/ ディレクトリ以下に書き込み、ブートローダとして syslinux をインストールすれば十分です。そしてUSBメモリからブートしてブートオプションに fetch=URL/ファイル/への/パス を入力します。live-boot は squashfs ファイルを取得してRAMに格納します。こうして、ダウンロードした圧縮ファイルシステムを普通の Live システムとして使えるようになります。例えば:
append boot=live components fetch=http://192.168.2.50/images/webboot/filesystem.squashfs
活用事例: ウェブサーバがあり、squashfs ファイルが2つ、1つは例えば gnome のようなデスクトップ環境一式を収録したものともう1つは標準のものが置かれているとします。あるマシンでグラフィカル環境が必要であればUSBメモリを差し込んで gnome 用イメージをウェブブートできます。後者のイメージに収録されている何かのツールが別のマシン等で必要になった場合は標準的なイメージをウェブブートできます。